正欲のすみのネタバレレビュー・内容・結末

最近原作を読んだのでどうしても原作に準えてみてしまった。
複数の人間の心情やストーリーを描くのはすごく難しいのだと思う。映画では、原作にあったささやかな心情の変化や後々意味を持って来る展開が結構削られていたので、正直物足りなかった。でも、原作も映画もどちらも見て補い合えたのでよかった。

・寺井が妻の涙に性的興奮を感じることで異常性癖者と自身の曖昧な境目に気がつくところが削られていたので、寺井が一貫して普通ではないものに嫌悪感を示す存在として描かれていたのが印象的だった。

・確か原作では佳道と夏生が「他者に自分たちの性癖を絶対に言わない」と約束するシーンがあって、だからこそ夏生が最後寺井に何も伝えないという展開になっていたと思うんだけど、その約束シーンが丸ごと削られていたのが気になった。

・捕まった大也が水が好きと伝えるシーン。原作ではなかったとおもうけど、その後の何も言わない佐々木夫妻との対比が良かった。

・八重子のシーンが大幅に削られていたので、彼女の苦悩や浅はかさ、終盤の強さが伝わりづらく、ただの暴走してる女の子っぽく描かれてしまったのが少し残念。

・原作の「マジョリティとマイノリティどちらが幸せか」のくだりがとても好きだったので、映画でなかったのは少し寂しかった。