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正欲のnaveoのネタバレレビュー・内容・結末

正欲(2023年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

世の中の情報は明日死にたくない人のためにある。英会話の広告、婚活パーティー、生命保険。大多数と同じ嗜好で生きられない辛さ。結婚することでそのくだらなさから少し逃れられる。この佐々木とガッキーは奇跡的にわかりあえるひとに会えたのだから、結婚すれば良い。そうすれば、しょうもない言動が和らぐ。擬態しやすくなる。相手も傷つかない。結婚しろ。結婚してくれと思ってたら、結婚してくれた。ありがとう佐々木、ガッキーと結婚してくれて。このまま幸せであってくれ。
稲垣吾郎のような、自分の価値観以外存在しないものとする人間は大勢いる。田舎では特に多い。その彼がある場面では善人であるという描き方はクラッシュを思い出す。ある場面では善人であってもやはり想像力のなさは罪。社会的に偉い立場の人間こそ想像力が必要。しかしそういう人が変わることはない。天動説の人は地動説には変わらない。戸が閉まるラストは何者で扉がひらけるラストであったことの対比か。遠くの存在になったという意味ではゴッドファーザーやAftersunのラストシーンの扉と同じ。つまり稲垣吾郎=世間はどうやっても違う価値観を理解することはないと言いたいのか。稲垣吾郎は世間に過剰適応して不幸になっている。稲垣吾郎も一緒に幸せになってほしい。奇跡的に仲間に出会えた佐々木とガッキーが幸せになってくれるのは嬉しいけど、そういう奇跡がないと生き辛い人は生き辛いままだし、救いにはならない映画のような気もする。話しかけてあげてるのになんなの?とキレてくる妊婦がマジで辛かった。うっさいで済ませるガッキーが辛い。ダイバーシティもインクルージョンもいらんからかまってくるなという事案が多すぎる。
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