作り手の意図としては、「願いは人から叶えてもらうものではなく、自ら叶えるもの」ってことを言いたかったのかなと思いますが、全然ちがう方向でいろいろ考えてしまいました。
以下、少しネタバレあります。
独裁国家ですが、国民は皆それなりに幸せに暮らしており、王様は高い理想を持ち有能(しかも魔法使い)で国民から圧倒的に支持されています。
しかし、国王の欺瞞を知った17歳の少女が反乱分子となり、テロを起こします。
国王は、この国に住むことを希望する様々な人種の人々をすべて受け入れて平和な国を維持しているので、その意味では有能な政治家と言えます。
住民は、「自分の一番大切な願い」を18歳で国王に差し出して、その願いを忘れてしまうことを受け入れてこの国に住んでいます。国王は月に一度、誰かの願いを叶えます。国民の数に対して願いを叶えてもらえる人はとても少ないので、宝くじの高額当選くらい確率は低いと思います。ほとんど叶えてもらえないと思ってよいでしょう。ヒロインはこの点がわかっていないようです。
一般的には無害と考えられる無垢な願いであっても、国家転覆に繋がる可能性がほんの少しでもあり得ると思えば、国王はその願いを絶対に叶えません。絶対に叶えない願いがあることを隠している点で、国王は国民を騙していると言えます。しかし、それは、国王の視点から見れば、国家の危機を未然に防いでいるとも言えます。「願い」も国民から無理やり奪い取ったものではなく、国民が自ら国王に差し出したものです。そのため、この映画の前半では国王は極悪人とは言えないと思います。
この映画の序盤で、ヒロインは国王に反抗的なセリフを吐きます。その時点でヒロインは危険分子とみなされたはずです。国王が極悪人なら、ヒロインは序盤に消されているはずです。
この映画で描かれたストーリーの後、この国がどうなるのか気になります。国王のワンマン国家でしたから、国王の他に政治ができそうな人が全くいないように見えます。こうなると、以前の国王が治めていたときのほうがよかったと考える人も出て来ると思うので、旧国王派との内戦が起こるかもしれません。また、外国から戦争を仕掛けられるかもしれません。"いつまでも幸せに暮らしました"とはなりそうもないと思います。
願いを自ら叶えるにしても、まず、平和であることが前提となります。彼女が成し遂げたことが結果として良かったのかどうか、彼女はどうするのがベストだったのか、なかなか難しいですね。