ペコ

西部戦線異状なしのペコのレビュー・感想・評価

西部戦線異状なし(2022年製作の映画)
3.7
英国アカデミー賞では最多ノミネートされた本作。24日に発表される第95回アカデミー賞の方でのノミネートも期待されています。映画ファンとしては観ておかないと思って鑑賞。重く苦しく悲しく暗い映画でした。
アカデミー賞作品賞も受賞した1930年製作の戦争映画「西部戦線異状なし」のリメイク。第1次世界大戦時のドイツ兵士たちが命をかけて戦場で戦う姿が描かれています。冒頭から戦場の凄惨な現実を突きつけられました。そこはまるで地獄…。僅か数百メートルの領土を奪い合うために数百万人もの若者たちが殺し合うことに衝撃を受けました。出兵前は敵を倒すことへの正義に満ちていた彼らも、銃弾や爆弾が飛び交い、目の前で仲間が死んでいくのを見て、ただただ生きて帰りたいと思っただろう。上官の命令のままに動き続ける主人公のパウルの表情1つで感情やその場の状況が分かるから不思議。命を軽々しく見ながらご馳走を食べる政治家たち。そして戦争の愚かさに腹が立ちました。結局パウルは誰のために、何のために戦ったのだろうか…。
一方で戦場から離れた会議室では、戦場とはまた違った現実を見せられました。ヒトラーへの忠誠心は絶対であり誰もおかしいと思っていないのだから恐ろしい時代だ。
迫力は物凄くあり、グロいシーンもたくさんあります。ただ、とにかく暗く重い戦場シーンばかりが何度も続くので、「プライベート・ライアン」や「1917」のような戦争映画で観たことがあるようなシーンだったような気もしました。

ウクライナで戦争で起きている今だからこそ、こういう作品は必要なのかもしれない。第一次大戦から100年経っても世界は戦争をしている。人間って何も学ばない生き物だ。戦争からは悲しみしか生まれない。
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