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西部戦線異状なしのmat9215のレビュー・感想・評価

西部戦線異状なし(2022年製作の映画)
2.5
戦死者から軍服を剥ぎ取り、洗濯して補修する。遠足気分で浮かれた志願兵たちにそれが支給され、ある者は前に着ていた死者の名札を見つける。兵士は戦死し代替者が補充される。この陰鬱なオープニングに戦闘場面、すなわち兵士が死ぬ場面はない。それは、以降にこってりと描かれる。塹壕戦における戦闘は塹壕から飛び出て銃弾の中を突撃し、最後は組み合いの肉弾戦に至る。VFXを駆使したであろう戦場場面は見応えがある。とはいっても、リアルに見える戦場場面も作り物ではある。ピーター・ジャクソンによる第一次世界大戦のドキュメンタリー『彼らは生きていた』に直接の戦闘場面はない。戦闘していないときのリラックスした兵士たちの姿が披露される。フィルムに定着された彼らの姿は修復処理によって生々しい。彼らが確かに生きていたことが実感され、痛切きわまりない。
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