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フェイブルマンズのkaoruiのレビュー・感想・評価

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
4.5
大傑作。
監督が映画本来の恐ろしい本質に向き合う。撮るべき時が今来たのかもしれない。
カメラを回すだけでありのままがフィルムに定着してしまう。被写体の撮られることを意識した作られた顔。撮影者の意識の底にあるもの、撮られなかった部分。
編集はさらに恐ろしい。
撮影時の熱量は消え失せ、暗闇に一人リアルとかけ離れた部分で観客の目線で取捨選択を行う。母親の目線、父親の目線。時には自ら恐怖に慄きながら、自身を削りながら。

何十年もこの魔宮を彷徨い伝説となったあの監督をあの監督が演じる。全く前知識がなかったのでこの配役には驚いた。
壮絶に火を吹く葉巻!
悪魔に心を売る覚悟を問う声は魔界から響くようだが、その眼差しは優しい。
カメラはククっと撮影所の空へ向かい希望が舞い上がる。
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