樺太柳葉魚

フェイブルマンズの樺太柳葉魚のネタバレレビュー・内容・結末

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

サムの成長物語であり、家族の物語。映画怖い!巨人が出てくる!なんて怯えてたサムが、衝突シーンに心を奪われて映画の世界に入り込んでいくの素敵。幼少期のサムの、心ここに在らずな表情が印象的。魂は映画の中を飛び回っているんだろうな。自分で衝突シーンを再現していくうちに映画の手法も次々に考え出していく。父親はずっと「趣味」として軽んじていたけど、母親は味方だった。でも母親が、夫の転職に親友を連れて行かない事に怒り狂って竜巻が来てるのに飛び出してくシーンで、あ、この人、ベニー好きじゃん、って気付きますよね。幾ら親友でも転職や引っ越しまで一緒にするかね。アメリカだと普通なんだろうか?お母さん、生命力に満ち溢れてる反面、メンタル弱そうだから、後々問題起こすんじゃないかと思ったら、息子に不倫を暴かれるという。男女の関係ではなかったとしても、母親が他の男、それも父親の親友といちゃついてるって息子としては感情ぐちゃぐちゃだろう。息子に理解を示していた母親に置き去りにされ、「趣味」の一言で片付けていた父親と暮らすというのも皮肉な話。でも全ての出来事には意味がある。フォード監督と会話し、発奮して瞳を輝かせるサム。失意の果てに見出だした希望。救いのあるラストでした。
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