ちっちゃなきょゥじん

フェイブルマンズのちっちゃなきょゥじんのレビュー・感想・評価

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
3.4
スピルバーグの自伝的作品なので、映画にどう目覚め、どうやって凄腕監督になったのか、語られる気がしていた。しかし本作の見処は、両親や級友やガールフレンドとの関係。ただし、その顛末は娯楽作品としてはスッキリしない。自分が子供なら、母の振る舞いは理解できないし、かなり大人にならなきゃ赦せもしない。作品鑑賞後の予想外ないじめっ子の反応も、そっち側の気持ちなんて、なーんとなくしか理解できない。ガールフレンドも、もの凄くいがちなコではあるが、エンタメとしてはドラマチックじゃなさ過ぎる。正直、スピルバーグの実話ベースでなければ、出来がいい青春映画とは思えない。ただ実際の人生は、教訓や共感を与えるように、シナリオライターが手を加えた作り物じゃない。伏線も回収も、誰も用意しない。だがそれだからこそ、巨匠の本当の青春が垣間見えた気がするお得感はある。また途中まで、普通のお父さん像がハマりすぎていて、ポール・ダノだと気付けなかった。しかし気付いてからは、彼のなりきり力に目を奪われた。