「激突」の恐怖を映画作りで克服した原体験によってショック療法的な自己治療行為に取り憑かれたサミーの苦しくも悦ばしき成長物語として観れて、眼前の出来事をありのままに映し出す撮影行為とそれに私的な意味付けを行う編集行為の両方によって成り立つ映画をもってして、他者の他者性を受け入れることで人は成長し、その連続が人生であるということの寓話とするストーリーテリングの巧みさはもとより、私は事故とも呼べる原体験の呪いによって終生映画に取り憑かれたアーティストとなり、故にライオンの口に頭を差し出すかのような他者理解の根源的な暴力性に不可避的に苛まれ続けることになったという告白の説得力と、さらにはその苦痛を被害者ぶらずに「全ての出来事には意味がある」という魔法の言葉で地平線の向こうへ投げ飛ばすケセラセラな剛腕に、なんかすごいグッとくる感じだった。
