【 深夜のベルファスト、絶望のライド 】
北アイルランドのベルファストが舞台。オープニングからエンディングまでカメラは止まらず進んでいくクライム映画。
監督は余程マイケル・マンが好きらしい。劇中で、マンの映画について話題が出てきて「マイアミバイス」や「ザ ・クラッカー 真夜中のアウトロー」(原題:The Thief)について語られたり、本作の劇伴を担当しているフィル・キーランの楽曲には'The Thief'というタイトルがありタンジェリンドリームそっくりな作り、これがカッコいい。シナリオ、映像、音楽、まさにマイケル・マンに捧げてるような。
映画は全6テイクの撮影を敢行して、いちばんのお気にに入りバージョンを採用したという。低予算、短期間ながらも、準備時間は相当掛けた筈。その熱意が伝わる。
裏社会から抜け出したい主人公、でも不運続きでなかなか抜け出せず苦悩する絶望感は半端ない。そして、ひたすら電話のシーンが続く車中劇、姿なき裏社会のボスの存在(声は名俳優スティーブン・レイ)、場当たり的な駆け引きの行く末は… ハードボイルドまで行かないドタバタした感じもあったけど没入感はしっかり出ていた。