このレビューはネタバレを含みます
インターネット小説「北京故事」を原作に製作された2001年の作品である。
ゲイ男性2人の心情の動きを丁寧に描いていて、地味な映画だがとてもよくできている。香港にはこの頃すでにクィア映画の土壌があり、だからこそこういう奇をてらったところのないウェルメイドなものが出てくるんだろうなと思った。カップルがパトロンの関係というのは『エゴイスト』でもそうだったが、日本がああいう作品を作ったのが2023年だということを考えると、ちょっと気が遠くなる感じがする。
ハントン(フー・ジュン)もランユー(リウ・イエ)もちゃんと親しみやすい役作りをしていて、お互いの感情のもつれを生活感をもって表現している。個人的には、ハントンのダーティだけどか細く見えるところがよかった。それとハントンが毛沢東のことを話す下りがあるが、文化大革命時代生まれのわかるわかる的な描写らしく、このへんは時代性というか政治的で、ははぁと思った。ただ、「悲劇的なゲイ」を描いた定型的な話でもあり、もうハントンの会社がどうなってもいいからランユーと最後までに幸せになってくれ……と思っていたのでちょっと納得がいかなかったのだが、まあこれも時代性かなという気はする。