恋のいばらのくさむすびのネタバレレビュー・内容・結末

じわじわ来るタイプの映画かもしれない。個人的に鑑賞後はあまり好きじゃないなと思っていたのだが、感想を書くにつれもしかしたら良い映画だったのかもと思い始めている。
見進めるにつれ序盤の作り込まれ具合に感嘆した。伏線回収パートで「そっちに行ってしまうのか」となりかけたが、しっかり復讐劇を完遂してくれて良かった。そして監督らしさ溢れる希望に満ち溢れるような展開。桃が「私みたいなキャラがゾンビ映画に出ていたら高確率で死ぬ。最初から死んでいる時もある」(うろ覚え)みたいな台詞があったけど、その台詞を踏まえるとよりこの映画が向かっていく希望というものがより強く感じられる。今までの城定監督が撮った商業作品の中では一番ピンク映画味があった。
序盤の特に喫茶店のシーンは凄く練られている。2名様予約という紙一つで桃の用意周到さが見て取れるし、壁の反射越しに莉子を映すことで二人の間の距離を感じ取れる。それ以降対面ではなく横並びで座って距離が縮まっているのを感じさせるし、ストレートに語らない関係値の見せ方が良い。
ここまで良い点を語ったが、僕が今作でピンと来なかったのは眠り姫の引用が腑に落ちなかった点と写真集入れ替えの所で自分の集中力が無いせいかよく理解できなかった。もう一回見れば話をよく理解できるかもしれない。