春花とおく

ビューティフル・レターズ 綴られた言葉の春花とおくのレビュー・感想・評価

4.5
一言でいうならば、沁みた。

物語自体は淡々と、リアルに進む。昨日は激しいアクションものを観ていた身としては、物足らない程に。しかし、その中にはこれまた非常にリアルな、純真の善意が詰まっている。終わる頃にはすっかり見入って、目尻に浮いた涙を拭って、明日から善く生きようと心に決める。

マイケルの未来をみたい。彼の状況は、あまりに僕と同じだ。子どもにして病気(おそらく癌だろう)で様々なものを失い、自らの脚で歩く事も出来なくなった彼は、サムやマギーの善意をいっぱいに受けて、この先どう生きるのだろう。

僕も何度かの入退院を繰り返し、その度に人生が変わった。考えを変えた。結果、人というものが好きになった。世界の善意を知り、より生きたいとの思いを強めた。人への、世の中への感謝が己の行いを正し、より善くあろうとする意志を強めた。

マイケルも同様だと思う。だが、それは僕らのような特殊な人間だけではない。善意は伝播する、というこの物語が伝える一つの「レター」

語りたいことが多すぎてまとまらない。

こんなサムとマイケルを足して割ったような死にかけの人間なので、よく今から何を遺すべきかを考える。手紙はもとより、「鍵」はいいな。手紙も鍵も、物としてこの世に残るのがいい。その人の代わりとして、伝え続けられるのがいい。
春花とおく

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