記憶と記録の違いについて考えさせられる映画。
当時の父親と同じ年になった娘がビデオカメラに残された映像から思い出を想起するストーリー。
ほとんど全てが主人公の主観で語られ、随所にホームビデオが挿入される演出。私小説的。
ホームビデオだけ観ていると幸せな家族旅行にしか思えないが、余りにも不穏な空気から察してしまう。
記録というものは不変だが、記憶はその都度作り上げるものであってファジーだ。フィクションと言っても過言ではない。
あまり多くを語らないストーリーだが、確実なのはビデオカメラの映像と現在の主人公の部屋だけ。その他は全部想像。
過去には戻れないが、過去を振り返ることはできる。そんな作品。
