おこめ

aftersun/アフターサンのおこめのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
4.6
・終始映画に漂ってる気だるさと水や空の相性が最高だった。
リゾート地の時間の流れ方が映ってた。

・まじで特に大きな出来事はないから、嫌いな人は嫌いな映画だと思う。

・音楽がとにかくよかった。劇伴からBGMまで全部。
オーケストラとか上品なもので固めることも十分できたはず。
超おしゃれ。たまらん。

・少女が大人に踏み出す一歩目。
幼さ溢れる行動と、意外なところで恥じらいを見せる その境目が大人目線ではわからないあの感じ。

・少女が性に目覚めようとする瞬間を終始見ている感じがして罪悪感があった。

序盤、兄と妹と勘違いしていたあの青年のように、観客も2人の関係性がわからなくて、父と娘の触れ合いになぜか性を感じてしまう。
それは父と娘のふと訪れる他人行儀な距離感や、胸が膨らんできた少女の水着。そして、ソフィの美しさが原因だと思う。
ソフィ役の子は正面から見たり喋っていると子どもそのものなのに、黙りこくる横顔がめっちゃくちゃ大人っぽくて綺麗。
おれが変態なんやったらすまん。

直接的な性描写はないのに、なんか見たらダメなもん見てる感じがした。監督の演出すごい。

・でも、最後に行くにつれて、2人が本当に愛し合ってる家族ってわかるにつれて、性の気配は消えていく。
泥のシーン。

・あの泣いているカットの時系列が少しわかりづらかった。多分その日の夜なんだと思うけど。

・彼がなにを伝えたかったのか、なにをしたかったのかはわからないけど、なんとなく映像で伝わってくる。言葉では咀嚼できない。これだから映画は素晴らしいと思った。ありがとう。

・ビデオカメラ

・開放感がある画が続くのに死の匂いが漂ってる。水と空って生にも死にも近いよな。
どの監督と比べればいいかわからない感じ久々。こういう出会い嬉しい。

・自分は今年ベスト候補くらいの熱量だけど、誰かにとって生涯ベストになるくらいの力を持っている映画だと思った。とにかく強い。

・会話バックで、チェキが段々現像されてくるのいいなぁ。

ー2回目鑑賞 追記ー

・1番初めのカットで映るビデオカメラの映像。その場面が途中、本編で訪れる。
カメラを止めてというお父さん。「私の心小さなカメラで撮っておく」っていうソフィ。彼の少し悲しい生い立ち。

・初日の夜、2人の寝息印象的。
最後の日の夜、お父さんの寝息は聞こえない。
カットのサイズとカメラの動きとか一緒だから、絶対意図的。

・その寝息聞こえないカットからスムーズに現在のソフィが、お父さんからもらったであろうカーペットに素足をつける。

・最後、死を感じるけど、バックには赤ちゃんの声。

・普通に一生好きな作品になるわ。もう一回映画館で観れるうちに観とく。

・This is my move を“パパの動き”って訳すのはダメだと思う。最序盤で2人の関係性が一瞬でわかってしまう。
観客が2人の関係性を探すっていう演出を潰してる気した。

・テンポ感の割にカット結構刻んでるから、好き。
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