ハラダユウキ

aftersun/アフターサンのハラダユウキのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
4.8
観終えてケータイの電源つけたら父親から着信履歴があって折り返した。
ある俳優さんも同じ回に観てたようで、すれ違って瞬間的に話しかけようかと思ったけど、父親から緊急の電話かもとか映画の余韻にもまだ1人で浸りたいとかって'じぶん'を優先して去ってみた。
すぐ掛け直したらタクシードライバーに転職したこと、おまえの店は順調か?ということだった。

今の自分の歳でもう16歳のこどもが居たんだなーって計算してみたら溺れた。

その帰り道の中華屋の店内でサザンのよくわかんないカバーが流れてて、父親が好きだったなぁとかって、それもまた急に息継ぎが下手になった。
親の苦労なんて、当の息子だって赤の他人の観客だって気付かないんだってこの映画。

逃げ出したい時、それでも必死に構ってくれた時なんてものは、こっち側からしたらほぼ淡くなってしまってる。
追いつくほど、追いつけるほど、溺れていく。
黄色いリストバンドみたいになんでも手に入ると思ってたけど、そんなこと無いってことようやく気づき始めてる。また青臭く。

父との電話の内容と同じように、なんじゃそらぁと思いながらも、そんなことが何でもないことではなく、もう親子としてはすべてなんだと2日経ってもまだ想える良作。