せいけ

aftersun/アフターサンのせいけのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
5.0
ビデオカメラの記録からなる記憶、人の内面は映せないカメラの特性を活かした映画的な物語構築に心を打たれた
父と娘のバカンスは一見微笑ましく見えるが、どこか不穏さも漂う
意外なほどに親子が目を合わせて話すシーンが少なく、他者性が強調された作りに切なさを感じた
楽しい夏休みということ自体に偽りはないだろうけど、それゆえに父親の寂しさなのかなんなのか複雑な感情が表出してくる
記録と記憶と想像を頼りにあのときのあれって実はああいうことだったのかと答えのない問いを繰り返してくる感覚
映画の中と同じく観終わってしばらくしてから急に余韻が降りかかってくる観客が多いのではないだろうか
自分自身も鑑賞中より終わってからハッとして説明はできないが胸が締め付けられるような思いになった
それにしても映画の技巧とあっと驚くようなアイディアのセンスも抜群
これが長編1作目とは末恐ろしい