KAYA

aftersun/アフターサンのKAYAのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
4.5
静かで、何も明確には語らないけど、二人の感情がヒリヒリ熱くて、痛い

お父さんはこの上なく不器用で、もう壊れていたんだろうけれど、それでもやっぱり娘を愛していたんだね

娘の為に残した思い出のフィルムと、トルコ絨毯、誰かを愛するという感情

ソフィは、不安げに父を見つめる
ほんとうはもっと近づきたいのに、大人になりかけている彼女は、父の葛藤を感じ取っている
もうちょっとここにいたいななんて、控え目でいじらしいわがままを言ってみる
父を待っていたはずなのに、カラオケで一人、下手くそな歌を歌う彼女を思うと胸がきゅっとなる

呼び起こされた記憶のように、じわじわと浮かび上がる二人のポラロイド、最期のダンス

何かあったらなんでも話して良いんだよって、ありきたりなはずなのに、なんて優しい言葉なんだろう

31歳になったソフィ、そこに重なる監督自身の視点では、何も語らない
おめでとうソフィ、と言って恋人はキスをするけれど、ソフィは何も言わずにそこから立ち去る
まるで父の陰鬱さが乗り移ったみたいに
無駄がなくて、巧いなぁと思う

最後の空港でのシーン、
クラブ的な場所は、ソフィの感情の記憶?
感情を辿り、父の心を見つめ、父と交差できる場所
カメラを閉じると同時に、そこにそっと父をしまっておいたのかな、と思う
元々は無かったシーンらしい

ずっと他人の話す声とか、雑音が入ってるのがすごく好き
誰も気に留めない孤独な人間二人の物語であることを感じさせつつも、逆に二人の感情を際立たせてる
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