このレビューはネタバレを含みます
愛情深くて優しくて、11歳のソフィから見れば立派な父親に見えるカラムも、声をあげて泣いたり自責の念に苛まれたりするひとりの人間だということ。娘に煙草の害を説きながら、夜に一人で吸っていること。ソフィは彼のそんな姿を知らないだろうこと。ビデオテープのざらざらした質感がよかった。あの思い出がどうしようもなく過去であることを際立たせているようで。
カラムが電話ボックスからソフィを呼ぶシーン、ソフィと観光客たちがカラムのために歌うシーン、彼の目元や表情が隠れているのがどきりとして好きだった。ラスト、光が明滅する扉の向こうへ消える背中もよかった。最後まで彼の心の内には触れられないのが良いな。