ピートロ

aftersun/アフターサンのピートロのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
4.0
「匂わせ」とか「行間」とか「空気」がメイン。
婉曲的な表現が好きな人にはハマるだろうが、「何これ?」となる可能性もかなりあると思う。だからこの4.0という高得点(投稿時点)はちょっと意外だった。
父娘がふと見せる痛々しさがよかった。

他のユーザーの感想・評価

11歳からは時間が経ちすぎていて、親の目線にはまだ程遠いマージナルマンだからむずかしかったです。

スポーツで疎外感を感じるところで『BROTHER』だ!って思ったけど、説明少なめで楽しげなのに死の雰囲気が漂ってるのたけし映画っぽいかも。

子供からお金の心配されるのが一番しんどく感じた。うわーって感じ。
変な動きしてるところで、よく空手の型を暇な時やりだす父親を想起したので定期的に会いたいですね。
don

donの感想・評価

4.0
明確な事は何一つ出てこないからこそ
色々考えて、観終わってからも考えて、
後からじわじわと良さが出てくる。

カラムと年齢が近いから、
分かる葛藤があって
子供には自分の私情を挟まず
父親として居続けてて……

under pressureを聴いたことなかったけど、YouTubeで何回もあのシーンと共に観てうるうるした🥲
CharlieZG

CharlieZGの感想・評価

3.0
父とのバカンスを録画したビデオを再生しながら父を回想する20年後の娘。

親と同じ年齢に達してあの時の親の気持ちを想う、というのは親が亡くなっているから。
現在の娘ソフィが繰り返しビデオを再生し当時のことを思い出しているのは父に会いたい証。

そう思うと切ない気分にさせられそうだけど、映画ではそういう悲観した描写は一切なく淡々と20年前の映像に娘の回想や想像を混じえて進行する。

これは観る人の経験によって感じ方が全く違うと思うし、私にはそういう経験がないせいか、評判ほどピンと来なかった。

ソフィ役のフランキー・コリオちゃんが可愛い、映画デビューとは思えない成り切り様が良かった。


監督 シャーロット・ウェルズ

キャスト
ポール・メスカル
フランキー・コリオ
セリア・ロールソン・ホール
田中

田中の感想・評価

4.0
実像と虚像が交錯する不思議な構図の画面が多いなと感じた。あとからふと、ソフィの記憶の父と あのころの実際のカラムのギャップを表していたのかもと思った。
親のパーソナルなところって案外知らないよなと最近考えていたから、自分の父のことを想ってしまった。
なんと説明の(情報の)少ない映画だろう。それだけに、数々の意味深なシーンやセリフがジワジワと、まさに日焼けの痛みのように後から効いてくる。

11歳の誕生日を迎えたばかりの少女ソフィと、まもなく31歳になろうとしている父カラムの二人が、夏休みをトルコのリゾート地で過ごす。ただそれだけのストーリーだが、実は20年後のソフィがその思い出を回想しているという作りが判ると切なさが募る。

この「11歳の少女」という設定がなんとも絶妙なのだ。子供でもなく、当然大人でもない。おませな気持ちはあるものの、大人の世界に入っていくにはまだあまりに無邪気で無防備だ。彼女の無邪気さが、悩める父の心に傷を負わせたり日焼けを起こしたりするわけだ。

父は母と離婚していると思われるが、その理由は明らかにされていない。娘の年齢からすると、20歳そこそこで結婚したんだろう。そしてもしかすると、彼はゲイなのかもしれない。(これも劇中明らかにされるわけではないが、所々意味深な要素が置かれている。)
そうでもないと、彼があんなに苦悩し、一人背中で嗚咽している理由が分からないのだ。

彼がスコットランド出身だというのもなんだか象徴的だ。娘ソフィに「スコットランドには戻らないの?」と訊ねられ、「戻らない。太陽が少ないから。」みたいな会話があるが、生まれ育った風土の日照時間というのは「心の健康」に少なからず影響するんじゃないかと思う。カラムはさらに「一度故郷を出てしまうと、そこにはもう自分の居場所は無くなる。」とも言っていた。これもなんだかゲイあるあるのような気がしてならない。

「もっとずっとここに居ようよ。」と言うソフィ。「そうもいかない」といった様子の父。一夏のバカンスが楽しければ楽しいほど、別れが切ない。あのラストで、ビデオカメラの撮影を停止し、扉の向こうに消えていった後、カラムは死んでしまったのだろうか?これもはっきりとは描かれていないのだが、おそらくそうなんだろう。20年後、当時の父親と同じ年齢になったソフィはそのことを噛みしめ、父の遺したトルコ絨毯を見つめるのだった。
cetacea

cetaceaの感想・評価

4.1
劇中自分の父親のことを考えたりしていた。
父も一緒に出かけてくれた日、どうしようもない不安や暗い衝動に襲われたことがあったのかな。
I

Iの感想・評価

3.9
Somewhere系の映画なので期待大で鑑賞。

どこか哀愁とトルコのバカンスはハッピーなようで不穏な空気感が絶妙。
予想に難くない未来と幸せなバカンスの対比が印象的。

ネオンの場面はよくわからないからこの点数なんだけど、作品としてはすごく好きで光や画角、音楽の使い方が最高だった。

A24は外さないな👌
UK Rock 狂私得だったしとりわけBlurのTender(とQueenのUnder Pressureよかったな🎸⚡️

私の11歳の時の将来の夢と誕生日プレゼントは何だったんだろう。。

11歳のあれこれを思い出す契機になった。

.
(私も小5は恋しました☺️😨笑結構意外な相手だったけど、、w)
pipipixxx

pipipixxxの感想・評価

4.9
これは今年のベストムービーかもしれん。幼少期の記憶の回想劇であり当時の父親と同じ歳になったソフィが今ならあの時の父親はこういう気持ちだったのかもしれない、と大人視点での想像を加えての再編集が素晴らしい。もう生きる希望がない大人と、大人になることが楽しみで仕方ない思春期の少女を対峙させるメタファーがとことん散りばめられていて、すごく幸せそうな記憶に見えるけどどこか不穏な予感がする危なかしい気持ちになる。あと、一見おしゃれで90年代のリバイバルものが好きそうなムードが作られてるんだけど、選曲はいわゆる音楽好きな人がセレクトした当時の曲というというよりも、その当時流行った、多分どこ行っても聞いたことあるようなUK中心の曲を集めたところもエモかった。大トリのシーンで流れるクイーンとデヴィッドボウイのUnder pressure、この曲でこんなに泣いたの初めてくらいピッタリすぎた。
当時のイギリスのレイブカルチャーだったり、当時の社会問題と今のマイノリティの社会問題も盛り込まれてて、とにかくいろんなことが盛り込まれているけどハッキリは結論づけずに曖昧さの塩梅が絶妙なので人によって色んな考察ができるのも面白い。この映画のすごいところを書き出したら止まらないしキリがない!けど一つあげるならやっぱり編集のレベルの高さとラストシーンかな…。
シャーロット•ウェルズ監督の今後にも期待。
照屋

照屋の感想・評価

4.5
自分も来月31歳、子どもも5歳と1歳
感情移入しまくりの心ブッ刺さりでした

言葉と絵でキャラクターの感情が自分の中にガンガン流れ込んでくる

カラムの背中で見せる演技は圧巻

以前から子どもは自分がこの世に生まれてきた証明だと思ってる

これから沢山aftersun思い出を作って
僕は生きて息子たちの成長を見守りたい
荒い粒子の映像が、流れた歳月を物語る。20年なんて、あっという間でしかない。そんなに長い時を経てからでしか、あの時成し得なかったことに気がつかない。
家族だからこそお互いにわからなくなることもある。それを補ってあまりあるものは、あの時の思い出だ。


こちらにも書いていますのでよかったらお読みください(オウンドメディア作りました)。
https://kayoko-kawase.com/archives/747
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