ボー

aftersun/アフターサンのボーのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
4.0
 眩しく苦しい映画だった。どんなに互いに愛していても、手が届かない領域はある。そして主人公は自分自身が同性を伴侶に選び、彼女と子育てをする段になって、父にとっての自分がどんな存在だったか理解してしまったのではないか。
 以下は個人的な解釈。あの父親は男性に惹かれる方なのでは(ダイバーへ向ける緊張感や、クラブのシーンなど)。父親の年齢からして、時代的な圧力を跳ね除けられずに関係をもった結果が主人公だったのかもしれない。娘に誕生日を祝われる父親の目のなんと絶望的なことか。娘の無邪気な様子が更にその影を濃くする。
 この映画はポスターが非常に秀逸だったと思う。折り目がついて、日焼けするほど持ち歩いた大切な写真。一瞬を切り取ったそれは幸せそうに見える。人生は一面だけで判断できないけれど、一面が幸せであったこともまた事実だ。
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