冒頭のゲームセンターのシークエンスから胸が締め付けられる。
我が父を亡くしたばかりの当時の母をなぞるような展開にこちらの記憶も呼び覚まされてしまう。多分自分はあの娘と似たようなものだった。
ネオンがなくなる事で、訪れるたび香港の街が薄暗くなっていくのに心を痛めていました。そこに住む香港人の心情が繊細に丁寧に投影されていました。
「おばあちゃんのついででいいから私とビルにも会いに来てね」とレオに語る言葉の切なさ。
香港、政治と社会の変化、夫婦、家族、喪失の物語だけど、最後にはほんの少し再生の息吹も感じられました。
親の老いを目の当たりにし介護生活に入った我々の物語にも再生は訪れるのだろうか、と最後にまた我が身に引き寄せてしまった。秀作。