くぅー

牛の鈴音のくぅーのレビュー・感想・評価

牛の鈴音(2008年製作の映画)
3.9
my映画館2010#26> 2009年、韓国でドキュメンタリーとしては記録的な大ヒットとなり、"牛の鈴症候群"なる言葉を生み出した本作・・・実にゆ~ったりと興味深く拝見し、まんま優しい牛の鈴の音に、ま~ったりと癒された80分弱になった。

そう、描かれるのは田舎のある老夫婦と、そこで飼われてる老牛の晩年の姿・・・それだけ。
腰の曲がった70代後半の老夫婦は、効率性を度外視した昔ながらの爺さんに、それを愚痴りまくりつつもしっかりサポートする婆さん・・・そこに平均寿命15年を大きく超えて40年も生きている、ヨボヨボながらも現役で働く牛が加わる構図で、特にこの爺さんと雌牛の絆が見所となる。

よって、個人的には英題"OLD PARTNER"がしっくり来た感じで・・・くだらない欲望は一切無く、迷える今の世の中とは一線を画し、シンプルにブレずに信頼し合って淡々と生きて行く姿は、やはり心に訴えて来るモノがかなりありました。

ただし、残念だったのは、作り込み過ぎてる部分が見え・・・明らかに演出したショットや不自然なアフレコがちらほらあったりして。

それでも、折しも口蹄疫流行での家畜処分や、先に見た中越地震のドキュメンタリーでの、犠牲になった牛達の姿を思い出し、そう言った意味では本作は幸せ過ぎる光景な訳で・・・と、いろいろと想いを馳せる結果にはなりましたが、見ておいて損はしない一本でしたね。
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