のり

イタリア旅行ののりのレビュー・感想・評価

イタリア旅行(1953年製作の映画)
4.6
戦争三部作『無防備都市』『戦火のかなた』『ドイツ零年』で有名なロベルト・ロッセリーニ監督作品。

倦怠夫婦のイタリア旅行。しかし溝は深まるばかりで…

冒頭のドライブシーンから夫婦2人のぎこちない距離感がひしひしと伝わってくる。
彼らは旅行先でお互いが嫌がりそうな言動をとる。幼い頃好きな人には意地悪したくなるなんて言葉をよく耳にしたがそれは相手の気を惹きたいため。だから同じ要領でこの夫婦はお互い嫉妬させることで気を惹きたいんかなーって前半見てたけどその考えは違った。彼らは自暴自棄状態で気を紛らせようとしただけ。博物館巡りやバー通いと同じように夫婦間の嫌がらせは彼らにとって気を紛らせたのだろう。しかし彼らが別行動を取っていたときはその場を楽しみながらもどこかお互いの影を感じていた。

比較対象としておかしいかもしれないけど相手への思いやりよりもお互いの決心が夫婦の距離を縮めるものなのだと感じた。

そしてラスト。見ようによっては唐突かもしれないが個人的に最高のラストだった。他のレビュワーの方も書かれているがあのラストを見せたいがためにこの作品を作ったのかもしれない。
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