マヨカレー

マンティコア 怪物のマヨカレーのネタバレレビュー・内容・結末

マンティコア 怪物(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

(※自分の予想や妄想含まれてます)
主人公フリアンを通して、人は当たり前だけど何かに寄り縋ってないと、全てが不安で仕方がなくなる、と改めて感じた。
幼少の頃に母を亡くし、唯一の父は息子を叱らなかったとあるように、親子の関係に距離があるまま育ち、人間関係や物事の考え方にも距離を取って考えるようになったんだなと感じた。個人的には、もう少しフリアンの過去についての描写が欲しかったかな。
多分、不安な幼少期の心の穴を埋めるように、ひとり空想の世界に入る事を好み絵の道に進み、孤独のコンプレックスを癒したんだろうな。

その後、自分の夢と語った虎になりたいから、ゲームデザイナーの道へと進み、人物キャラクターではなく、異形のモンスターを描くようになり、動物が好きな人物と伺えれる。人物を描くのは、見たことのないモンスターと違って誤魔化しのきかない、難しいものと語ってたのも、単に描くのが難しいと言ってるのではなく、関係を築いたり、うまく距離を詰めるのも複雑だ。ともニュアンス的には考えられる。(実際、少年の人物デッサンめちゃうまかったし)

転機は訪れる。アパート隣室の火事により、そこに住む少年を救うことにより、うちに潜む欲望が芽生えるわけだが、ここが難しい。
個人の主観で見たら美しいと感じたものも、周囲から見たら直接的に人を傷つけてなくとも、世間的には受け入れられず、醜悪なモノになるというのが容赦なく描かれていた。
もちろん、フリアン自身もこれはいけない事だと理解し、背徳感と嫌悪感に悩まされたはずだ。
その感情が芽生えることで、紛らわせてた孤独感がより一層高くなり、不安が発作に繋がったのではと思う。

そこで、一般的な人間関係に縛られないディアナに出会うわけだ。
彼女と出会う事で、自分の行いに更に嫌悪感を抱き、変えようと決心する事で物語が大きく進んでいく。

本当に2人の関係が尊かったのに、後半は見てて辛かった。

最後に飛び降りて脊椎などを損傷するというのも、前半にゲームのクリーチャーの会話の伏線回収になってたと、思い返してはっとした。

終わり方は、ハッピーとは言えなかったけど見てよかったなと思える良い映画だった。
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