ポリルレロ

ストールンプリンセス キーウの王女とルスランのポリルレロのレビュー・感想・評価

4.2
長年聴いている別所哲也さんのラジオ《J-WAVE TOKYO MORNING RADIO》に粉川なつみさんが出演されたことをきっかけにこの映画を知って、普段はあまり観ないアニメーション映画に関心が深まり、楽しく鑑賞。
(昨年のラジオでの紹介がきっかけとなって、別所さんも吹替版キャストとして出演されていてうれしい)

赤毛のお姫様が主人公に負けず劣らず勇敢で良き。広大な自然や躍動感ある美しいアニメーションに、キャラクター目線の独特なカメラワークも迫力があって、軽快なテンポで楽しめた。
おとぎの国を彷彿とさせるような、屋根瓦が連なるヨーロッパの町並みも素敵で、以前訪れたチェスキー・クルムロフを思い出したり。(ウクライナではないけれど)
と同時に、今は失われてしまった日常や景色がたくさんあるのだろうな…と、序盤で少し悲しくもなった。

主人公ルスラン役の髙塚大夢さんの表現は、等身大のまっすぐな青年の感情が乗っていて、耳に心地良く。自身が作詞を手がけた主題歌も素晴らしい歌声でグッときた。
ロデー役の工藤ディマさんはキーウ出身で、声優を目指している最中に軍事侵攻を受け、キーウから日本へ避難されてきた経緯もあり、日本語吹替版の制作に当たっては粉川さんが直直にオファーされたとか。

原作はロシアの詩人アレクサンドル・プーシキンのデビュー作にあたる物語詩『ルスラーンとリュドミーラ』だそうで、映画の制作がスタートしたころはまだ、ロシアと協力関係にあったそうだけど、このような情勢になってとても残念…。
愛するものを守りたいきもちはいつでも、どこに居たってみんなおなじ。ほんとうに一日も早く平和な日をと。

一人の熱い想いからいろんな輪が広がって、大きな大きな輪に。
ウクライナ発のアニメーション映画がたくさんの人の心に届きますように。