ぽっぽこぽー

こんにちは、母さんのぽっぽこぽーのネタバレレビュー・内容・結末

こんにちは、母さん(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

仕事、家庭、友情、すべてがうまくいかない50歳近くの主人公。

未亡人の主人公の母親は近くの教会の牧師に恋をいだくのだが、母は年も年であり、作中ぽつぽつと亡くなった父親の思い出を漏らし頑固な父が好きだったのだろう主人公はそれを良く思わず、諦めさせようとちょっかいをかける。
しかし自分の家庭が離婚の危機になると、「自分のことは母さんには関係ないだろう」と怒る。

娘は最初家出をし心は滅茶苦茶で荒れていたが、終盤には一緒に花火を見に行くような異性を見つける。
不幸から幸せへ。目が希望に満ちていた。主人公とは逆の描かれ方であった。

主人公に不幸が重なって、どん底まで落ちるのだが、作中の一言「落ちきればあとは上がっていくだけ。」というような言葉はまさにその通りである。不幸はその人間の主観であり、心である。とらえ方によって今の自分の位置が不幸か幸せかを位置付ける。

主人公を裏切者といったり恩人といったりの主人公の同級生、母親の「一緒に北海道に連れて行って」という言葉にYES、NOの返事を葛藤しできなかった牧師、牧師は嫌だが母親の言うことはそれとなく聞くホームレスの男性。

いかに人のこころは自分の立ち位置によって揺れ動くのか。
一貫性とは程遠い、人の心の揺らぎのむつかしさ、私はとても感じることができました。
「二度とこの家に戻ってくるか」と言った主人公が、最後には生家に戻り母と暮らす。そのままマンションに暮らすことも出来たのに。
不安、不幸、生き方をお互いさらけ出し、新しい一面を見た親子の暮らしが始まる。
「ただいま、母さん」ではない。「こんにちは、母さん」である。
ぽっぽこぽー

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