スクリーン1
原作は沢木耕太郎。未読。
片や元ボクサーでその後事業に成功し引退した実業家・広岡(佐藤浩市)。片や広岡にボクシングの指導を懇願する黒木(横浜流星)。
元ボクサーと現役ボクサーのふたりがチャンピオンを目指し人生の伴走者となる。
物語にあまりにも無駄な部分がなく、ちょっと出来すぎた話にも感じるがそこに感心する。映画の脚本の見本のような筋立てだ。
昔気質の登場人物たちが今様ではなく昭和感を沸き立たせる。
若い主人公がわめく物語は苦手だが、この作品はすぐに気にならなくなった。横浜流星の好演もあって、人物のひたむきさが上手く表現できているからだと思う。
窪田正孝演じるいけ好かないチャンピオンが敵役に相応しくクライマックスの試合を盛り上げる。
主役のふたりはもちろん、片岡鶴太郎、哀川翔、山口智子、坂東龍汰などが演じる脇の人物たちもきちんと血肉の通った人間として描かれていた。
瀬々敬久監督の安定感ある作品だ。