夢里村

ホワイト・ドッグの夢里村のレビュー・感想・評価

ホワイト・ドッグ(1981年製作の映画)
4.9
運転手を襲って店にトラックぶちこませるところをはじめ、興奮しっぱなしの展開が目白押しだった。動物園での爆走・脱出はずっと声をあげてしまってたし、象の真横を走り抜けるなどトリッキーな画が瞬間した。監督が光をバックに歩いてくる長回しを待機中のいぬに着地させたとこは度肝を抜かれた。見せ方が斜め上だ。
黒人の子どもとエンカウントするかしないかの絶妙な線のコントロールから、誰もが結末を想像できるのが気持ちいい見事な教会シーン、そして捕獲に至るロングショット……。矢継ぎ早に紡がれるいぬ脱走のシークエンスはもう辛抱たまらんかった。
いぬの目線に倣ったであろう低めの画角の多用(股の間からは流石にうけた)、いぬと人の立場を等しくするクロースアップなど、いぬを意識したカメラは言わずもがなだが、特に緊迫と安堵の両義性を備えた切り返しはすごかった。ハンバーガーといぬ、銃といぬ、単純な人といぬとの関係に収まらないのがいい。

いぬを撮ることが必要条件ではないわけだが、むしろそこから純粋にいぬの魅力が立ち上る映画だった。
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