夢里村

瞳をとじての夢里村のレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
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スクリーンとそれを観る者を切り返しで捉えることができるのか? それらの交感がロマンティックにもあり得るとして、画面に映るのは人物の後頭部とスクリーンを収めたショットか、俳優たちの顔がスクリーンの光に照らされているショットであり、そこにこそ、ラストのミゲルやガルデルのクロースアップがさみしく、もの悲しく見える何かがあり、彼は瞳をとじるしかなかったのかと思わされる。しかしエリセは「瞳をとじる」ことを悲観的に描いているようには思えない(過去の作品しかり)。俳優たちがスクリーンから目を背けること、それが諦めや逃げになっていないことが、我々鑑賞者がスクリーンに向かい合うことの意味を考えさせる。

この映画に震えるほど感動するショットがあったとか、面白かったとか、それとは別ですが。漆喰を塗る2人を、洗濯物を抜けていく前後移動で捉えたショットはさすがにびっくりした。まさかこのワンショットがエリセとはとても思えない。いぬにまで切り返すのはさすがにくどいしダサい。ロングで撮っているぶんにはとても素晴らしいのに。
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