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時雨の記のseapony3000のレビュー・感想・評価

時雨の記(1998年製作の映画)
4.0
途中1シーンだけ息子の原田龍二が別の俳優になってたんですけど…わたしの夢かしら…いや絶対違う人だった。若い人には一切響かない、中年のいやおじさんの純愛ドリーム。脳死状態でみる夢として完璧。盛り上げる久石音楽、四季折々の大作キャメラは当然桜で〆。日活時代の小百合と哲を再現するようなこれこそ夢のようなはしゃいだ追いかけっこ、こんなの見逃せない。京都誘う=男女の性交、他人のことにあれこれ言える立場じゃないひたすら静観する哲の親友は百戦錬磨の林隆三。寺の目の前の隆三オフィスには目立ちすぎのキャノンの機器。昭和から平成へ、この頃のくすみ色のダブルのスーツに濃いめの柄のネクタイ全員おんなじシルエット。哲からの電話を取る細川直美で無頼人斬り五郎に繋げて勝手に胸いっぱい、小百合のお別れ会なのに自分のプライベートで泣いちゃう多感・裕木奈江。グラナダでの階段でも北鎌倉の坂道でも子どもたち(天使)に見送られる哲。そしてなによりこの作品の企画が吉永小百合本人だというのに戦慄。小百合アンタほんと最高だ。暮らしの手帖に入社した「私、違っているかしら」の小百合が北鎌倉でまさに暮らしの手帖な丁寧な暮らし。築何十年の雨漏りや、壊れた生垣さえも小百合らしさそのまんま。
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