時雨の記の作品情報・感想・評価

時雨の記1998年製作の映画)

製作国:

上映時間:116分

ジャンル:

3.5

「時雨の記」に投稿された感想・評価

花椒

花椒の感想・評価

3.5
神保町シアター渡哲也追悼特集にて。

渡哲也がグイグイ押してるけど、吉永小百合の方が内に秘めた思いが溢れ出る印象はなく、なんで途中から惹かれていくのか。催眠術でもかけられてる、とかトンデモ理論がないとこの展開は無理、と思ってしまった。
佐藤友美演ずる奥さんだって何で別れを持ち出されなきゃならんのか、この展開ではそれを観た者に想像してくれ、というのは酷かな、と。

神保町シアターは5回スタンプで次回無料なんだが2月しか有効期限がなく、特集が何かで足の運び具合が左右されるので5回溜めるか新しいスタンプカード発行してもらうか検討した方がいいかと。
外出自粛の巣篭もり鑑賞。
こんなにスムーズに行く映像観せられると、絶対誤解する人出てくる。
こんなもんじゃない「密やか」の描き方があれば。
二人とも少し大胆すぎでは?
嘗ての澤井なら、役者にいくらテクニック・表現力がなくとも、(リヴェットが普通に観られるようになってからは切り口の観点の古めかしさが益々きわだってきた『Wの悲劇』のシナリオの引き寄せ方のように、)役者への添い方・同調の仕方が尋常ではなく、名人のカメラの暴走気味にも、逆に作品に血を通わす手段としていた。
しかし、いつの頃からか名匠然とするようになって、役者と語り口の相互を独立させて、立てるようになると、活きた人間・世界は消えてしまい、尤もらしいかたちだけが残るようになった。渡、吉永がいくら木偶人形でも、もっと視角・切り込み方があるのでは? 似せるも可能だったのに、ドライヤーの遺作との隔たりはあまりに大きい。
ストーリー的には賛同できるのだが、名作然としたとりすまし方は何だろう。個人的には、この内容だと、林隆三と佐藤友美の主演の方で見たかった気もする、本音を言えばもっと見映えのしない地味な俳優さんがうちからの輝きをみせてくるようなのを、ちょっとこれは・・・のキャスティングのほうがへんにスリリングな何かが生まれて来たのでは?と思う。『野菊~』然り『W~』も『早春~』だって『~時刻』『めぞん~』も(今まで観るをためらってて、これと共に今回初めて観た)『ラブ~』ですらもそうだ(上部のGoサイン出ないだろうし、本人も横綱相撲のほうへ転じてくのが当然と思ってるだろうことはわかるが、渡の苦しみかたは人斬り五郎みたいだし、吉永の思案顔も、以前の市川崑期の役柄をまるで払拭してないように見える)。
A

Aの感想・評価

4.0
魚に話しかけるところかわいい
冷静になればツッコミどころ多いんだけど演出の力技でねじ伏せる澤井信一郎はやっぱエラいし、あと作品に直接関係ないけどフィルムかなり状態よかった。映像に凄味を感じるほど。
改めて思うのは渡辺淳一の世界はなんなら少女漫画より恋愛ファンタジーだよね、、
藤原定家ゆかりの地、時雨亭に静寂を濃度を増すように鐘が鳴り響いたとき、日本映画史上最も美しい不倫の貌が現れます。  澤井信一郎「時雨の記」

多くの人はその多感な10代後半から20代にかけて、リアルタイムで遭遇した作品に強く印象づけられるでしょうが、そんな時期にに公開されたがゆえに見落としがちな大きな財宝も映画史には眠っております。

時間的にも空間的にも身近でありすぎるがため、無益としか思えぬような情報の数々が評価されるべき作品や監督をめぐって偽りのイメージを形成させがちだからです。

例えば私たち80年代にとっての澤井信一郎監督の「野菊の墓」

公開された時、何しろ80年代トップアイドル聖子ちゃんの初主演映画ということで話題になってました。

時計メーカと同じロゴのSEIKОファンの熱狂と同時に、気取った映画ファンの軽視もまるごと抱えて。

実は公開時、まだ中学生だった私は観ておりません。

少し後に、角川映画「Wの悲劇」「早春物語」などがいくら話題になっても所詮はアイドル映画か?などという故のない軽視の連帯に巻き込まれ、処女作とは思えぬ玄人の風格に満ちた「野菊の墓」の真価に全く鈍感であったからです。

澤井信一郎の映画作家としての出自がアイドル映画であったとしてもマキノ雅弘の正統な継承者がそのレッテルのまま封じ込まられる筈もなく、傑作としか言いようがない「恋人たちの時刻」ではさすがに鈍感な私でも覚醒いたしました。

「わが愛の譜 滝廉太郎物語」や「日本一短い(母)への手紙」が申し分のない佳品であることはいつの日かその項目に預けるとして、やはり審美眼の力が鈍った前世紀末・日本人の心の壁に大きな風穴を開けた90年代・誉れの一本「時雨の記」を挙げないわけにはいきませぬ。

「時雨の記」はそのタイトルから想起しがちな雨、水、空気といったものを画面から気配まるごと肌で感じ取れる映画です。
しばしば引き合いにだされる渡辺淳一の映画化作品などよりも遥かに象徴性を帯びて、渡哲也、吉永小百合という老齢のスターにとってさえ、これが、お二人のデビュー作ではないか、と思わせるみずみずしさ。
澤井信一郎はかつて、松田聖子や薬師丸ひろ子、原田知世や河合美智子を(映画女優)にしたように、ここでもまた、吉永小百合を再び(映画女優)として蘇生させております。

「時雨の記」の本当の魅力は、空気や水や音といったものさえにも映画だけが現せる(影)が備わり、推移している事を実感できる点にあります。
それが、主演お二人の肉体を通じて、時々理解不能に使用される(風土)と呼ばれる目に見えぬものの実態として繊細に体現されているわけですが、
そこに敏感になれぬ限りは、自堕落な世論が軽薄に過剰反応しそうな(不倫)という主題に惑わされるのみ、です。

世界に誇れる映画人・恩地日出夫と同様に、澤井信一郎が「蒼き狼~地果て海尽きるまで~」(2007年)以後、いまだ最新作の報せを聞けていないのが寂しい限りです。
こういう映画、好きです。途中でダレたし、雰囲気に酔ったもん勝ちな感じはするけれど、もうとにかく主演二人の淡くも深く恋する様が観ていてたまらない。
嵯峨野と鎌倉の美しさ、そして何よりも音楽が素晴らしい。死を間近にして、多恵と共に在る生を渇望し、躍起になる壬生の姿に心が締め付けられる。そんな彼の想いの深さに気づかない多恵もまた切ない…。
わずか5ヶ月だったかもしれないけど、こんな想いができたら、喜びと痛みも含めて幸せなんだろうな。原作もおすすめ。
tonkara

tonkaraの感想・評価

3.0
池袋新文芸坐にて。腫れ物にさわるような、どうもぎこちないやりとりが続く、それをずっと見守る、そういう映画がいいといえるでしょうか。渡が死ぬ役ということで、早く死ね!と思いつつ鑑賞(男女逆だと嫌になるが)。
にこ

にこの感想・評価

3.5
青春の海の吉永小百合と渡哲也が年を重ね渋みと艶やかさを深めて再度共演をしたのが本作、時雨の記。
実際結婚寸前まで行った二人の演技はいい雰囲気出してます。

吉永小百合はTHE日本女性、というくらいおしとやかでお美しくて、歳をとっても輝かしいです…。

ストーリーは、中年の紳士が忘れられなかった女性を見つけ、秘められた思いに忠実でいたい、ということで不倫という形で関係を深めていく。
正直言うと、不倫だしなぁ…奥さんかわいそうだしなぁ…そんな美化して映されてるけども…と、言うともはや原作に私が合わないだけなので、映画どうこうの話しではなくなってしまうわけですが。

映画としては、撮影が劒岳点の記の木村さん。音楽が久石さんなので、主演二人の渋いおしとやかな演技と映像音楽は安心して見ていられると思います。