麩菓子

高速道路家族の麩菓子のレビュー・感想・評価

高速道路家族(2022年製作の映画)
4.0
なにより演技力ですかね、出演している皆さんの。テク役の男の子あれどこからどこまでが演技なの?ってくらいハマり役。ハマり役というか、あの子自身のエネルギーを周りの人々が存分に活かせているのも凄い。ウニ役の子の切なく慈悲のこもった眼差しは心を動かされた。ジスク役の女優さんも、あまりに無垢で、それでいて絶望の淵と希望の光を両立させたような表情。ヨンフン役の女優さんのまさに“揺れ動く”演技が痛いほどに生々しかった。
ラストにかけて、映像の美しさというか美学要素は増していくのだが、それと共にギウの破滅具合も異様に増していく。ある意味バランスを取っているのかな〜と思ったり。
ヨンフンの夫のおぢちゃん結構好きだったな。だって結局はさジスクに話聞きに行って自ら歩み寄ろうとしてるんでしょう?なんて優しい人なんだろうと思ったよね。
確かに夫婦2人に事情があってこその今回のストーリーだけど、もっとお互いを求め合いながら助け合う関係に妥協というか前向きというか、もっとポジティブな何かを持たせても良いのではと感じた。
ラスト生きてる説も死んだ説もいけるくないか?と思ったけどそうでもないようですね。どちらとも取れる余地を残してくれるのは良いなぁと思ったけど。
どこかのレビューで、父夫ギウの死は弱者を排して万事OKの図に終わってしまってるのではというのを見た。あぁ確かになと思ってしまった。ただ、それは弱者の“救済”に視点が行きすぎてる?とも思ったり。ギウの壊れっぷりは確かに大袈裟で、けれど3人の幸せを望む父ギウはそのままで。痛かった。けれど、彼には愛が満ちていたなと。ジスクがギウに別れを切り出し許しを乞う場面。あまりに愛に満ちていた、苦しくて強くて優しかった。