ファンタスティック・フェストにて。

主演のジュディス・ホフマンは矛盾だらけで複雑な主人公を演じて、スイスのアカデミー賞にあたるスイス映画賞の最優秀女優賞を受賞していた。

厳格な宗教家の夫を持つ科学者ルース。彼女のかつての恋人アンドレアが祖母殺しのために刑務所に収監、20年たっても無実を信じるルースは釈放を求めて行動に出る。

サスペンスなのか？と思いきや意外な展開になっていく。
アンドレアと急に連絡が取れなくなったり、かと思えば突然現れたり。これってよくあるアレかと見ていたが、少しずつおかしな方へ。
自然と宗教と科学、モラル、タブー、善と悪。

暗めの映像、青が印象的なシーンの数々、スタイリッシュだが冷たい印象の建物や風景、まるで人生思いどおりに行かずむしろ悪化してるようなルースの心境とリンクしているようだ。
かつての恋人を釈放したいという序盤の話がそっちの方向に舵を切るのかと。前半だけならよくある冤罪系社会派ドラマにありそう。

後から思えばあの冒頭から何かおかしな雰囲気は感じていた。
彼女の願望は？欲求は？どこへ向かうのか。どんどんおかしな方へ進んでいくルース、一体どうするつもり？と思ってしまう。
不完全燃焼な部分もあるし、分からないままの部分もあるが、全部説明する必要も合わせる必要もなく、余白を持たせ想像させる映画。こういうの好き。

宗教と科学を絡めたサイコドラマかな。

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