このレビューはネタバレを含みます
田辺弁慶映画祭のグランプリ。
とんでもなく素晴らしい作品でした。
思春期を過ぎて完全に目が見えなくなった成人男性と
その周囲を取り巻く親戚や友人のお話。
そこから感じるものもたくさんありますが、
さらに奥深く、簡単な話でもありません。
人間は、普通に生活するだけで、
障害あるなしにかかわらず、
誰かに迷惑をかける生き物である
とはいえ、いざ、自分が障害者で、
当たり前の毎日を送るのに、
誰かの世話にならないと
普通の生活すら送れないならば、
そんな自分や他人に嫌になる
そんなのすら考えすぎて、
でも考えても今の生活はどうしようもなく変えようがなくて、
とうに色んな悟りを開いて無感情になっている
主人公に胸が締め付けられました。
是枝監督の万引家族やコーダ愛の歌など、
社会の弱者に優しく寄り添うような映画で、
健常者のようで健常者でない私の心にも響きました。
主演の木村知貴さんの演技には終始脱帽していて、
最後には素晴らしすぎる演技に違和感すらなくなっていました。
これからたくさんの方に観ていただきたいです。