ぺんじん

あしたの少女のぺんじんのレビュー・感想・評価

あしたの少女(2022年製作の映画)
4.3
韓国の職業訓練生の問題に焦点を当てた本作だけど、色々と身につまされるな…一人の勝ち気な女子高生がどんどんと負のスパイラルに巻き込まれる様子が辛い…
コールセンターのクレーム担当という結構辛い仕事を、職業訓練生という事で安月給でこき使われるという社会問題を描いているのだけど、露骨に悪役を描くのではなく、高校、会社、その上の組織、そして社会それぞれに問題の責任があるという事を丁寧に描いていて良かった。
警官のぺ・ドゥナは最初は異動になったばかりでどことなく飄々とした感じなんだけど、ストーリーが進むにつれて熱を帯びていく感じは迫力があって凄かった。その情熱と執念は社会的規範や手続きを飛び越えてしまう。
問題の原因になった人たちそれぞれに鋭い問いを投げかけるぺ・ドゥナの姿はどことなく西部劇的な雰囲気があるなと思った。近いのは『許されざる者』のクリント・イーストウッド。
ふと女子高生の目に映る風景や斜めに差し込む光が美しくも哀しい。社会に押し潰される人間たちのためのフィクションからのリベンジだ。
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