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ソウルに帰るのtwitwilightsのレビュー・感想・評価

ソウルに帰る(2022年製作の映画)
4.0
観終わってすぐ不満を漏らしている年輩夫婦がいた。タイトルからいわゆる正統派韓流ドラマ的カタルシスを期待したのだろうか。
そんな話法を悉く裏切ってゆくのが本作である。

ひょんな事から渡韓した主人公フレディ。母国とはいえ、中身がフランス人の彼女は、行く先々で文化的違和感を抱く。やがて父方親族住む群山で、その違和感は最大級に膨張してしまう。その描写がヒリヒリと痛い。"逃げ出したくなる空気感シーン"今年ベストワンだったw

ルックとしての国籍と、今おかれている現実。
冒頭、ソウルの居酒屋での一幕から、この映画の特異性が浮かび上がる。

仏語と韓国語の交差。
壊しては整える帰属意識。
解放のためのダンス・ミュージックと、自己(現実)と向き合うための初見演奏。

本作は3幕+エピローグ構成だが、幕ごとに変化する衣装、画角(カメラ)も凄い。きめ細やかなそれらの演出(回収)を今一度観直したくなる。

時に異物としてすら映るフレディが辿り着く安寧の地とは。
そして何より瞠目に値するのは、彼女の不安定な視線と突如として巻き起こる激情、その演技だ。
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