先日、(石原さとみ主演)「ミッシング」の“やらかし”カメラマンに苦笑していたら、突如思い出した作品。本作での加瀬亮演じるカメラマンも忘れ難い。
なにより前田敦子の素晴らしさ。彼女の体ってこんなに華奢だったっけ?突如異国の地に放り出されたかのような、無軌道に街中を放浪するどこか頼りなげな肢体。始終ハラハラと“親”目線で追尾してしまう。
劇作とドキュメンタリーの交錯。
黒沢作品の過去作とは明らかに異質な話法だが、(大きな事件も起こらない)外国旅番組撮影クルーの”あるある”取材過程が、どうしてこんなにも面白いのか。
そして、見方によっては荒唐無稽さすら感じるはずのナヴォイ劇場のシーンとラストシーンには、落涙余儀なくされる始末。映像作品のみぞがもたらす大きな大きな力を感じた作品。原一男監督のドキュメンタリーも思い出した。