このレビューはネタバレを含みます
よくある小悪魔成り上がり系物語、かと思いきや
天使だと思ってたものが実は小悪魔だった
小悪魔と思ったら実際はもっともっとやばい邪悪な魔女だった、という
1950年公開のこの作品
今や映画や演劇はエンターテイメントですが
この時代はどうもそうじゃない
役者はあくまで役者であってプライベートは本当の姿がありますが
例えばマリリンモンローはいついかなる時もマリリンモンローなわけです
マリリンモンローと聞いて人々が思い浮かべるのは果てしなくゴージャスで可憐なあの姿
金髪の髪にすべての男を虜にするまさに女の象徴
そんな時代に演技で生き残った連中はまさに自分の人生をそのイメージに捧げている
その時代の映画稼業の縮図がまさにこの映画
成り上がりたいなら人を蹴落とさないといけない
誰も彼も疑え、自分だけを信じるしかない
「演劇界と文明社会の違いよ」
というセリフを吐くシーンがあるんですが
そこだけ明らかにカメラ目線になる
もちろんその手前には、聞き手がいるんですが
視線はこちらに向いている
いわゆる"第3の壁"をそーっと突き破って、いかに"あなたたち"と"わたしたち"が違う世界を生きてるかを暗黙の了解的に解釈させる役割を果たしている
セリフ回し、動き、目線において計算され尽くした演技と演技の静かなぶつかり合いに固唾を飲んで観入ってしまう..
ちなみにマリリンモンローもちょっとした役で出てきますが
やっぱ、オーラがありますよ
なんてったってマリモンですからね
でも、そんなマリモンすらも凌駕する圧倒的存在感を主演の"ベティデイヴィス"は放っています笑
この人、実際も結構きつい性格だったそうで
色々調べてみるといかにもこの映画の主役を張るべき人物にふさわしいと納得できます
まぁそれはイヴ役の"アンバクスター"も同じですが..
古き良き時代もあれば古き悪き時代もあるんだな、としみじみ思う作品でした
ラストは必見。