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ナイン・マンスのニシのレビュー・感想・評価

ナイン・マンス(1976年製作の映画)
4.1
この手の映画を観るとどうしても物語を紡ぐ上での人物の身振りや足取りの変化を期待してしまうのだが、この映画ではその変化が主要人物二人には与えられずじまいだったのでいまいち腑に落ちなかった、強いて挙げるとすれば、息子の父親に、息子に会うときの足取りを平行的に描いていたけれど、夫婦と食堂にて食事した際に椅子から立ち上がるという垂直的な芝居を与えていた点は良かった。ユリにしても、妻のいる男との子供を産んで1人で育てる(親の協力を得てではあるが)というなかなかの保守的で胆力のある女性が、旦那の家族に自分には子供がいると暴露するということの整合性が合わない。彼女にとっての革命とは、暴露することでも逃避することでもなく、子供をしっかり夫家族の元で育ててそれを両立しつつ(もしくは十分に育てた後に)また自分の夢に向かって精進することではないのか?彼女にはそれができるだろうと感じる。最後の出産シーンも映画的なイメージが先行していてうんざりした、出産であんなにも産婆さんが静かでいて赤ちゃんの産声だけが響き渡ることなんてあるか?
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