みやび

ナイン・マンスのみやびのレビュー・感想・評価

ナイン・マンス(1976年製作の映画)
4.7
求め、すがり、繋がる。

私とあなたを繋ぎ止める、なにか。
人は自らが名付けた形の無いなにかに翻弄されながら生きている。
私たちはどうすれば実体のないものに深い信頼を置くことができるのだろうか、形の無いものを根拠に他者からの信頼を勝ち取ることができるのだろうか。
真実の愛とは本当に存在するのだろうか。

愛し合うというにはあまりにも悍ましく、醜い行為から繋がれる愛。
かつて繋ごうとした愛が産み落としたもの。
ラストシーンは映画という概念の垣根を超えた奇跡の瞬間であると同時に、望まれない繋がりの誕生が描かれた悲劇の瞬間でもあると感じる。
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