MasaichiYaguchi

炎上する君のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

炎上する君(2022年製作の映画)
3.7
ふくだももこ監督が直木賞作家・西加奈子さんの同名短編小説を、個性派俳優・うらじぬのさんとタレントとしてバラエティ番組などでも幅広く活躍するファーストサマーウイカさんのW主演で映画化した本作は、抑圧的社会から自由になるべく奮闘する人々をコミカルに、そして温かく描く。
高円寺の高架下で、唯一無二の親友である梨田と浜中はアップテンポなダンスチューンに合わせて脇毛を見せながら一心不乱に踊っている。
彼女ら2人は、日常的に起こっている女性への抑圧に傷つき、憤っていた。
2人はひょんなことから、脇毛を生やしてダンスをすることで自分たちを解放しようと決意する。
そんな或る日、高円寺周辺に出没するという「炎上する男」の噂を耳にした2人は、好奇心からその男を探し始める。
舞台となっている高円寺は、以前の通勤経路にある駅で、間も無く復活開催される阿波おどりによく行っていたので馴染み深い街だ。
その街にある銭湯「なみのゆ」で梨田と浜中は湯に浸かりながら語り、憤る内容には思わず共感を覚える。
そして、それらを象徴する台詞「君はなにも悪くない」こそが、本作で言いたかったことのような気がする。