クリーム

零落のクリームのレビュー・感想・評価

零落(2023年製作の映画)
3.7
自分自身の評価って、誰しも適切には出来てない気がしますが、極端なのがこの主人公。イラつく最低男を斎藤工が好演しています。めっちゃ嫌なヤツです。確かに何かを生み出す仕事の人は、自分の才能を過剰評価しなければ、やってられないかも知れないが、世の中それでは、済まされない。ラストが良かったです。

漫画家の深澤は、 8年連載した漫画を完結させたが、 次回作が描けずにいた。 担当編集者から見下され、 漫画編集者 である妻のぞみとの関係も冷え切り、敗北感や虚無感を抱く。 ある時、 深澤は、ちふゆという風俗嬢 と出会う。彼女は込み入った話等聞いてこない。そんな彼女に惹かれて、彼女の帰郷に同行するのだった。



ネタバレ↓



ちふゆとの楽しい時間を過ごした深澤は、自宅に帰りちふゆと連絡を取る事もしなかった。妻と離婚し、生活の為、売れる漫画を描くとしっかりヒット作となります。ラストは、サイン会で、長い間支えてくれたファンの子とご対面し、新作に感動し泣いたと言われ絶望するのでした。終わり。

売れなくなっても編集者の態度が変わっても売れる漫画ではなく、レベルの高い漫画が描きたかった。読者も編集者も妻でさえも馬鹿だから俺のレベルの高い漫画が理解出来ないと思っている。誰に対しても見下した態度。ただコイツ、才能がちゃんとあって、売れる作品を作ろうと思えば作れてしまう。
深澤は誰の事も見てないし、気にしてない。深澤が愛しているのは、漫画の天才の自分だけ。 ちふゆに対しても気晴らしに都合が良かっただけ。
売れる為の漫画は、レベルの低い、馬鹿でも泣ける作品だと思っている深澤。落ち目の間もずっと応援してくれていたファンの子に「感動しました」と言われて、絶望する。他の奴らは分からなくても、本当のファンの彼女だけは分かってくれてるはずだと思っていた。
このラストで、誰にも理解されず、絶望する深澤にめっちゃスッキリしました。
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