Maoryu002

離ればなれになってものMaoryu002のレビュー・感想・評価

離ればなれになっても(2020年製作の映画)
4.4
1982年、ローマで若きパオロとジュリオとリッカルドが出会い親友となる。パオロはジェンマと恋に落ち、4人は青春を謳歌する。やがて離ればなれになった彼らは、それぞれに結婚や死別や失業を経験する中で再会し、憎しみ合い、友情を取り戻していく。

アツく激しい感動はないけど、とてつもなく好きな映画だった。

「幸せのちから」のガブリエレ・ムッチーノ監督が生み出したのは、恋愛ドラマのようで、大人の青春コメディに思えた。

まずは、10代の4人がはしゃぐ描写が堪らなかったなー。
そして、友達の彼女を奪っておいて、“お前のためなら何でもするぞ” には大笑い。
その後、人間関係が目まぐるしく動いていくんだけど、登場人物たちがカメラに向かって心情を解説してくれるので、とても分かりやすく、安心して着いていけるのもいい。

イタリアの政治と経済の不安定さや汚職事件も差し込まれて、懐かしい時代の出来事が少なからず彼らの人生に作用する。そして、4人の結婚の失敗や過去の過ち、妥協や諦めを全て否定しないところに、作り手の優しさが感じられた。

愛し合って、憎しみ合って、紆余曲折の末のラストシーンは楽天的だけど、感慨深く満足度高かった!
もちろん、あそこからもまた波乱が起きるんだろうけど、これを観れば誰もが自分の人生を振り返って、感情を共有するはずだ。

キャストも良かったけど、これ、ハビエル・バルデム、エドワード・ノートン、マーク・ラファロ、マーゴット・ロビーでどうかな?クドすぎるか。笑

音楽も申し分なく、「ラ・ブーム」「ブレックファスト・クラブ」と、失敗と成長を描いた名作から持ってきたと思ったら、人間の醜さを描いた「甘い生活」を思わせる場面では、行き場を失った彼らの憔悴ぶりをたっぷり感じさせた。
エンドロールの曲も素晴らしかったなー。

“残された傷痕は厳しかった現実の証、笑顔は自分たちがそれを乗り越えた証”
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