鴨橋立

クリード 過去の逆襲の鴨橋立のレビュー・感想・評価

クリード 過去の逆襲(2023年製作の映画)
4.0
過去の逆襲なんて言われるとタイムスリップで過去改変したら現代が大変なことになっちゃうSFだったり、今までのシリーズの強敵、クラバー・ラングやサンダー・リップス、メイソン・ディクソンがバーチャル世界のAIで蘇ったりとかを想像してしまうが、もちろんそんな事はなく。

過去から逆襲しにきたのは鏡写しの自分自身だった。


他人を指さして自分の弱さをそいつのせいにするな
それは卑怯者のすることだ お前は違う!

あの夜、"逃げ出した"アドニスの背中とそんな自分自身と戦うためにリングへと"向かう"現在のアドニスのシーンこそ、スタローンから受け継いだロッキー魂のように思える。

今作はそこに主演で初監督のマイケル・Bankai・ジョーダンの趣味も大きく織り交ぜられ、
冒頭のリベンジマッチでは別人なんじゃないかと思うような『見切ったぞ!』な演技があったり、

リングでの試合が突然抽象空間に入ったりとそれまでのシリーズに無かったような演出が入り、

好みは置いといて、これまでのロッキー性と監督の趣味のハイブリッドな新しい作品と言える。

また、今回の敵デイム役のジョナサン・メジャースの演技はすさまじかった、刑務所あがりでキャリアをつぶしてしまい、若干の不憫さを持つものの、瞳の奥ではそれは自分のせいではないと否定しているようなドス黒さを感じる(ここもロッキー哲学を感じる敵っぽい)、クロスアームのガードからその目が覗くというファイトスタイルも本当に画になる、そんな演技で、見た目もぬぼーっとした感じに見えて脱ぐと肉だるまというギャップ、だから恐ろしい。

こんなんに暴力振るわれたら怖いよなぁ。。。

良いとこがいっぱいある作品だと思うけど、ただヴィクター君だけは不憫でならない、ウクライナが大変な時に決まった念願の世界タイトルなのに。。



あとスタローンな…

アドニスがアマーラちゃん連れてカナダに遊びに行く短編とか作ってくんないかなぁ。。
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