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忌怪島/きかいじまのおんのネタバレレビュー・内容・結末

忌怪島/きかいじま(2023年製作の映画)
2.7

このレビューはネタバレを含みます

合成映像の安っぽさを逆手に取って「完成したばかりのメタバース」としたのは中々の発想の転換だし、実際「新世界」ののっぺりと明るい映像は案外ホラーと相性が良かった。一昔前のホラーゲーム的な、違和感のあるCGだからこそかえって怖い表現ができていたと思う。
主観視点からシームレスに人物を写す三人称視点に移行したり、ドローンでふわりと着地することで電脳世界へのダイブを表現したり、というのも非現実感がさりげなく演出されていて良い。

映像としての見どころはあったが映画としては残念。とにかく脚本が酷い。主人公の孤独が何に由来するのか、どんな摩擦を経て周りとの関係を深めるに至ったのか、その変化が怪異とどう絡むのか。いずれもろくな描写はなく、なんかそれっぽいドラマティックなシーンや象徴的なカットでお茶を濁している。
イマジョダーリや村八分の爺さんについてもユタが説明しすぎている感がある。
いろんな女性にスポットを当てているから誰がこの映画のヒロインなのかも分からないし。

いっそ女優霊みたいに最後まで不可解な映画にしたら良かったのに。「メタバースを作るために島をスキャンしたら、なぜかデータ内に赤い着物の女がいる」って序盤の謎だけで最後までやったほうがマシ。本当に雑な脚本だった。具材切ってないカレーみたいな出来。各要素のバランスを取る気がない。カレー粉入れたらカレーになるのと同じで怖いシーン入れたらホラーだろ、ってテンションで撮ったんだろうな。
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