湯っ子

劇場版 センキョナンデスの湯っ子のレビュー・感想・評価

劇場版 センキョナンデス(2023年製作の映画)
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フォロイーさんたちの高評価で気になってたこの作品がU-NEXTに!私にわかるかな〜と不安でしたが、面白かったです。

実は「なぜ君は総理大臣になれないのか」も以前観ているのですが、どういうレビューを書いたら良いかわからなかったです。カメラに映る小川さんの誠実で真摯な人柄に心を動かされたけど、政治家としてどうなのかということがよくわからなくて。勉強しなさいっつー話ですけど。ていうか、ここで「勉強」っていう言葉が出てくること自体がマズいんだろうなと思います。
いつまでも政治をひとごとの様に思ってるからこうなんだよな。せっかく民主主義国家に生まれているのに、民である自分が主だと感じていない。それが日本の仕組みになってしまっているのかもしれないけど、それにいつまでも甘んじていてはいけない。と、毎度そんなことをちらっと思うだけの私ではありますが。
このドキュメンタリーは、そんな義務感的なところからでなく、選挙ってエモい、オモシロいってところから私を引っ張り込んでくれました。

以前勤めていた職場の社長に連れられて、とある区議会議員さんの事務所に行ったことがあります。福祉に尽力してくれている議員さんで、社長は福祉施設に関わる制度のことを相談しており、議員さんは親身に気さくにお話を聞いてくれました。このドキュメンタリーを観ていたらその議員さんの事を思い出しXをのぞいてみると、地道で誠実な活動ぶりが伺え、地元にこういう議員さんがいてくれることが嬉しく、頼もしく感じました。

映画に話を戻すと、ここに登場するうっとおしいほどエネルギーにあふれた候補者たちの中で、ワニ議員の生気のなさは異質でした。ワニ議員側のスタッフが、対抗候補の小川さんの映画をPR活動のように言ってましたけど、ワニ議員の映画を撮ってもPRにはならないでしょうね。
ですが、政治家一族に生まれて、富や権力はあるものの、ものすごいしがらみの中で育ち、自由な選択が許されなかった人生なのだろうと想像すると、とても切なくなります。この前観たドラマ「それでも、生きていく」で、「人って逃げてばかりいると、命より先に目が死ぬ」っていうセリフがありましたが、ワニ議員の目を見てそれを思い出しました。ワニ議員が何から逃げているのかはわからないけど。
国会の審議中に見ていたのがワニの画像ってところは絶妙。タブレットを見てるうしろ姿からは、「おもしろうて、やがて悲しき」という言葉が浮かんできます。なかなかの文芸大作が撮れそうで、個人的にはとても観てみたいです。
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