風来坊

メグレと若い女の死の風来坊のレビュー・感想・評価

メグレと若い女の死(2022年製作の映画)
4.0
名優なのは確かですがパワハラに税金逃れのロシア国籍取得問題に、北朝鮮の式典参加問題とか私生活のトラブルに事欠かず、ここに来て性加害問題も勃発で四面楚歌のジェラール・ドパルデューさん主演。

監督はフランスの名将パトリス・ルコント監督。2013年の「暮れ逢い」からだいぶ間が空きましたね。まあもう75歳だそうで、そんなにアクティブに撮れないか…。
原作ではメグレ警視って長身で大柄だけどガッシリ体型で、決して肥満体型じゃなかった筈ですがどこから肥満のイメージが付いたのかなぁ

台詞の応酬のあとに間を入れるのはルコント監督の演出で変わってないなぁと安心。
その演出が行間を読むような推理物に合っていた気がします。
無骨そうで優しさがあるメグレ警視のキャラクターが良く出てるのと、亡くした娘に被害者を重ねている感じが物悲しくて味わいが出ていました。

劇中でも捜査の秘訣はひたすら話を聞く事とメグレ警視が言うように、事件関係者にこ聞き込み綻びを探す捜査方法。
映画と違ってチェイスなどないとも言うように、派手なチェイスや格闘シーンなどはないので地味で淡々としています。

関係者の話しと時系列から推理を組み立てる頭脳で勝負はもう時代には合わないのかも知れませんが、古典推理小説の基礎みたいで私はかなり好きでした。
台詞は少ないけど一瞬の表情や背中で語る演技は私生活ではトラブルメーカーでも、長年フランス映画を支えた名優ジェラール・ドパルデューここにありで流石に上手いなと思いましたね。

事件の解決方法としては、そんなに上手いこと行きます?というのはありますが、人の心を揺さぶる感じはメグレ警視らしさが出ていた印象。
まあとにかく地味で華もないので、今のミステリー映画と比べてしまうと物足りないのは分かりますね。
私は昔の推理小説を思い出して、懐かしい感じがして楽しめました。
風来坊

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