ナーオー

Rodeo ロデオのナーオーのレビュー・感想・評価

Rodeo ロデオ(2022年製作の映画)
4.0
ストーリーはシンプルながら、この本物の空気感が素晴らしい。

フランス映画にしてカンヌ映画ということもあり、ジュリア・デュクルノー監督の『チタン』のように自分には合わないかもと思っていましたが、ストーリー自体はかなりシンプルなので混乱することなく面白かったです。

ジョージ・ミラーの『マッドマックス』みたいに実際のバイカーたちに出演してもらって撮影を行った本作。だからこそバイク走行シーン。特にウェリーのシーンの迫力や溜まり場の空気感などが異常なほど生々しく、画面のこちら側にまでガソリンの匂いが漂ってきそうでした。

ストーリーは『ワイルドスピード』一作目のようなチンケな強盗団を描いた作品ではありますが、それでいて居場所を求める若者の青春映画としても面白かったです。

主人公ジュリアを演じる新人のジュリー・ルドリューの存在感も素晴らしい。
"野生児"というのがピッタリは魅力的な主人公でした。

本作がまさかの長編映画デビュー作となるローラ・キヴォロンの演出も見事。演出やカメラワークが雑という意見もあるそうですが、この荒々しさがこの映画の空気感や世界観に凄く合っており、僕はこれはこれで一つの味になっていると思います。

ただ主人公ジュリアやアントニア・プレジ演じるギャングの妻など女性の登場人物の描き方はとても良かったのですが、男性の登場人物の描き方が少しステレオタイプだったのは少し残念。

しかし"シスターフッド"というジャンルに囚われず、新たな"女性映画"を目指した製作陣の試みやその熱意は評価したい。

合う合わないは別として、寂しい、でも清々しいさも感じさせるラストのあの展開はとても好きです。

ローラ・キヴォロン監督。もちろん本作で初めて名前を知った監督ですが、これからが期待の監督の1人になりました。
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