櫻イミト

愛と哀しみのボレロの櫻イミトのレビュー・感想・評価

愛と哀しみのボレロ(1981年製作の映画)
4.5
クロード・ルルーシュ監督の「男と女」(1966)と並ぶ代表作。音楽はフランシス・レイとミシェル・ルグラン。

ロシア、ドイツ、フランス、アメリカの、音楽とバレエに携わる4つの家族の足取りを、戦前~第二次世界大戦、1960年代、そして現在(1980年)と45年間に渡って追いかける。欧米史を音楽とバレエで包み込んだ大作。。。

素晴らしかった。音楽が良いのは勿論だが、手持ちのカメラワークが抜群に凄かった。撮影は「ふくろうの河」(1962)「冒険者たち」(1967)など一連のロベール・アンリコ監督作品や「ポリー・マグーお前は誰だ」(1969)を手掛けたジャン・ボフティ。

四家族のストーリーのため登場人物が多く、中盤に戦後第二世代に切り替わったところで少々迷子になった。これから繰り返し観たいので、その度に把握が深まってより楽しめそう。

クライマックス、エッフェル塔下の屋外ステージで開かれた赤十字チャリティコンサートに、四家族のアーティストたちが顔を揃え17分間に渡る”ボレロ”を披露する。ジョルジュ・ドンによるバレエはモーリス・ベジャールの振付。10年ちょっと前に引退直前のシルヴィ・ギエムのボレロを観劇したが、本作の方が生命力が強く伝わってきた。壮大な音楽と舞踏を通して人生の道程をあらためて感じさせられる、映画史上に残る名シーンだと思う。

※登場人物のモデル
ロシア:バレエダンサー:ルドルフ・ヌレエフ
ドイツ:指揮者:ヘルベルト・フォン・カラヤン
フランス:シャンソン歌手:エディット・ピアフ
アメリカ:ジャズミュージシャン:グレン・ミラー
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